2025/08/25 10:00
こんにちは、シュヴァインハイムです。
当店には工房に併設された直売所があり、日々お客様と直接会話をする機会に恵まれています。初めてご来店された方から、たまにいただくご質問があります。
それが、「ソーセージに添加物って使ってるんですか?」というもの。
今日は、そんな素朴な疑問にお応えするかたちで、「食品添加物」についてシュヴァインハイムの視点からお話ししてみたいと思います。
添加物は使っているの?
お答えとしては「はい、ごく少量ですが使用しています」。
食品添加物というと「体に悪そう」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は食品の安全性を守り、美味しさを保つために不可欠な存在でもあります。
シュヴァインハイムでも、できる限り使用量を抑えつつ、お客様に安心して食べていただける品質を守るために、必要最低限の添加物を使用しています。
●粗挽きソーセイジの原材料を見てみよう
まずは当店の人気商品「粗挽きソーセイジ」の原材料表示を見てみましょう。
豚肉(愛知県産)、羊腸、食塩、赤ワイン、香辛料、発色剤(亜硝酸Na)、酸化防止剤(ビタミンC)、結着剤(リン酸Na)
この中で、いわゆる「食品添加物」に分類されるのは以下の3つです:
・発色剤(亜硝酸Na)
・酸化防止剤(ビタミンC)
・結着剤(リン酸Na)
それ以外の塩や香辛料などは食品添加物には該当しません。ここで、「添加したのに添加物じゃないの?」と疑問に思われた方もいるかもしれませんね。
●「食品」と「食品添加物」の違いとは?
実は、塩や砂糖、しょうゆ、スパイスなどは長い歴史の中で食品として認識されてきたもの。たとえ製造過程で加えるものであっても、「食品添加物」には当たりません。
逆に、「食品としても使えるけど、用途が保存や色止めのため」であれば、それは添加物になります。たとえば、レモンを香り付けではなく酸化防止のために使った場合、そのレモンは「酸化防止剤」として食品添加物に分類されるのです。
このように、「食品か?添加物か?」は目的と使い方によって決まります。なかなか判断が難しいところですね。
●シュヴァインハイムで使っている食品添加物とその役割
ここからは、当店で使用している添加物について、どんな目的で使っているのかをご紹介します。
・発色剤(亜硝酸ナトリウム)
本来「発色剤」とされていますが、主な役割はボツリヌス菌の繁殖を防ぐことにあります。
ボツリヌス菌は低酸素状態で増える嫌気性菌で、真空パックのような環境でも発芽・増殖してしまいます。しかも毒性が非常に強く、食中毒の中でも特に注意すべき存在です。
ちなみに、ボツリヌス菌の語源はラテン語の“ボトルス(腸詰め)”。ソーセージから見つかったことに由来するそうで、ちょっと複雑な気持ちになりますね。
シュヴァインハイムでは、厚生労働省の使用基準(亜硝酸根として0.07g/kg)を遵守し、残量検査も定期的に行い、安全管理に努めています。
・酸化防止剤(ビタミンC)
肉や脂の酸化を防ぐために使用しています。
酸化が進むと、風味や色合いが損なわれたり、栄養価が低下したりします。
ビタミンCといえばレモンを思い浮かべる方も多いと思いますが、添加の目的が「酸化防止」であれば、ビタミンCも添加物と見なされるんです。ちょっとややこしいですよね。
・結着剤(リン酸塩)
保水性を高めて、食感をしっとりと仕上げるために使います。
実は、無添加のハムも試作したことがありますが、どうしてもパサつきが出てしまいました。しっとりとした「ハムらしさ」を出すには、やはり結着剤は欠かせません。
リン酸は人の体にも存在する栄養素ですが、過剰に摂るとカルシウムの排出を促してしまうことがあります。
そのため、当店では使用量を国の基準内に厳しく管理しています。
●添加物は「敵」じゃない
「食品添加物」と聞くとネガティブに感じる方もいるかもしれません。
でも実際には、食品の安全性を守るために科学的に根拠をもって使われているものばかりです。
もちろん、どんな食品でも過剰摂取はNG。
たとえば、トマトには「トマチン」という成分が含まれていて、致死量はなんと4トンともいわれています(そんなに食べられませんが…)。何事も「適量」が大事なんですね。
最後に
私たちシュヴァインハイムは、「美味しくて安心なソーセージをお届けしたい」という思いを大切にしています。
だからこそ、安全性・品質・味のバランスを追求し、必要最小限の添加物を使っています。
食品添加物について少しでも知っていただくことで、選ぶ側の不安が減り、食べる楽しみがもっと広がればうれしく思います。
肉も魚も野菜も、そしてソーセージも。
バランスよく楽しんで、毎日の食卓がもっと豊かになりますように。